【コツ】なりきって勉強できるか?学習の質を支配しているモノ

随分と時間をかけて勉強したのに試験で解答できなかったとか、結構苦労して練習したはずなのに本番で役に立たなかった、などという経験はあるでしょうか。これらの症状は学習の品質が低いことに原因があります。学習の時間や練習の量はそのまま結果に結びつくのではないのです。クラスの中に勉強している様子はないのにいつも成績が上位にいた人という思い出は誰しも持っているはずです。

学習の品質とは、大切な項目(本質)をしっかりと理解しており、その本質に基づいて隅々まで行き届いた理解ができていることを意味します。試験ではどの程度の品質を獲得できたかを問うことになりますし、本番では隅々まで行き届いた理解が表現できるかが評価されることになるのです。本質を見失った学習では、問題に解答できませんし、行き届いていなければ、時間切れなどという悲劇を生じるでしょう。

凡そ試験は必然的に、専門家であれば正解できるものを問うことになります。国語の専門家であれば、間違いなく答えることができる問題しか、問うことができないという言い方も可能でしょう。専門家ではない人に、専門家としての学習を試すのが試験だということになります。ですから、学習の品質を高く維持するためには、自分が専門家であることを前提に学習することが必要なのです。

大学の言語学の授業は悲惨なものでした。教授は言語学の専門家として長年のキャリアを有していましたので、スワヒリ語は上手に話せたのですが、日本語が極めて不明瞭だったのです。さらに悪いことには、授業の内容は教科書とは全く掛け離れたものでした。教科書を読み、予習し、受講した上で復習というスタンダードなプロセスを真面目にこなしたのですが、単位試験に通ることができず、単位は次学期に持ち越しになりました。

次の学期の時、言語学の単位を考えると悲痛な思いになったのです。そこで単位がとれるかとれないかは別として自分は言語学の専門家であると思うことから始めたのです。専門家ですから教科書に書いてあること程度は理解できていないと困ります。また講義で説明されているようなことは知っていなければ困ります。そして同じ内容に対しては自分で授業ができなくては失格でしょう。

言語学事典と言語学の資料を見つけ出しました。大学の講義スケジュールを無視して、自分で言語学の講義のスケジュールを作り、講義のレジュメやノートを作ったのです。その期間、自分が言語学の専門家なのだと言い聞かせながら資料を作り、時々大学の講義に参加して内容を確認したのです。つまり大学の授業をカンニングの資源として自分の言語学講義ノートを作ったのですね。次の試験では「優」を取ることができたのです。

私の経験例は特殊すぎるかも知れません。ですが、学習に要した時間は左程変わらず、結果が大きく変化したことは事実です。つまり学習する立場を変えることで学習の品質を向上させることに成功したのです。家庭教師の指導にも応用することができました。優秀な家庭教師として子どもに教えるのではなく、ダメな家庭教師として子どもに学校の授業を習うことに徹したのです。

その結果、子どもたちは授業内容すらノートを見返してもわからなかったのに、文句を言いながらダメな家庭教師に授業の内容を教えるためとはいえ、徐々にノートの内容が充実するようになり、彼らの説明内容はどんどんと豊かに、精密なものへと変化するようになったのです。この例では、子どもたちが家庭教師という専門家になったことで、学習の品質が向上しているのです。専門家であることを前提に学習をすることがコツでした。