【ロケット効果】対話を活用する。学習効率は一気に加速し始める

どこまで記憶のメカニズムを研究しても、最新の脳科学でも記憶のメカニズムに対する理解は数百年前の説明と対して変化しないようです。つまり長期間にわたる記憶の保持は、長期記憶に記憶を格納する為には繰り返し学習しかあり得ないということなのです。これは意識的な学習をしようとする場合、何かの対策をしなければ致命的な負担になりかねないことです。

英単語などの外国語をマスターする為には最低限2000語の記憶が必要だと考えています。1日に10語を記憶するペースであれば、200日必要になる計算です。1日100語を覚えられるとしてもそれは短期記憶に過ぎません。この100語を安定的な記憶、長期記憶領域に入れる為には繰り返し学習が定期的にされる必要があるわけです。ですから、2日目には新しい100語と復習の100語の200語がノルマになってしまいます。

このように繰り返すと20日後には2000語の記憶学習が必要になってくる計算になります。これはほとんど1日中何もしないで学習していても間に合うかどうかわからない量になってしまうことは明白です。実用的ではありませんし、周期的な復習では効率が上がらないということをポーランドの教育学者は指摘している通りです。実際にやってみましたが不可能なのです。

このジレンマをどのように克服するかというと、秘策があります。周期的な復習ではなく、ランダムな復習が効果的なのです。実はランダムな機会に記憶を再生するようにすると12回の復習で長期記憶に入れられるという研究結果があるのです。ですからランダムな復習を上手に活用することを考えればよいのです。このためには周囲の人、友人に手伝ってもらうことが何よりなのです。

あなたがドイツ語の学習を始めるとき、友人を誘いましょう。単語を記憶するとき友人と一緒に学習を試みます。覚えた単語をお互いに教え合うのではありません。友人にあなたがドイツ語を教えるのです。自分が何を学習したのか、その内容を友人に同じようにマスターしてもらうのです。友人が質問してくれることが本当の狙いです。その質問は予測することが不可能なのでランダムな質問として復習に最適なものになっているはずです。

先ほどの原則を適用すれば、12人の友人に対して同じことを教えることになればそれで学習した内容は長期記憶に入ることになるでしょう。事実、英語の教師は誰よりも英語の授業内容を記憶しているのです。彼らは最初から知っていることを教えているのではありません。教えるべきことを学び、授業毎に復習し、質問に答え、結果として内容が長期記憶に納められることになったのです。

このことは英語などの外国語の学習だけに限った方法ではありません。さまざまなことに応用することができる利用範囲が非常に広い技術です。一度身に付ければ、一生利用することができる技術なのです。むしろ年を経ることで周囲から期待される技能だと言ってよいかも知れません。物事を教えることが苦手な年長者とは実にやっかいな存在になってしまうでしょう。

何人かの友人でグループを作り、それぞれが担当する科目を分担してリードします。そうすれば、それぞれがそれぞれの科目の専門家になります。そして相互に学習内容を共有できるようになれば、学習効率は多段式ロケットと同じような効果を持つことになるでしょう。この方法を実践している大学があります。大学に入学した直後クラス分けがされてグループで学習内容を共有する試みが、東京大学では伝統になっているのです。