ビジュアル・イメージは世界を救う?学習能力のエネルギーを充填

世界は「ことば」からできています。ドイツの天才哲学者ヴィトゲンシュタインの言葉です。そして「ことば」はそれぞれ「意味」と結びついて「記号」になっているのです。ですから「意味」は思い浮かべることができる(絵画的)イメージになっているはずです。例えば「くやしい」という言葉の意味を考えるとき、「くやしい」の辞書的な意味は結びついていません。むしろ「くやしい」思いをした時の情景が結び付いているはずです。

「くやしい」という言葉の辞書的意味が「意味」ではありません。つまりこの結びつきを知っていることが理解ではありません。ですから単に辞書的な意味を知っているだけでは学習の効率は上がりません。従って、試験で成績を上げることにあまり関係しないのです。そうではなく「くやしい」という思いをした状況を「くやしい」という言葉で表せる結びつきが「記号」として価値があるということになります。

英語の勉強に英単語の暗記はとても重要です。同時に辞書的暗記だと役に立たないという絶望的な主張を専門家がします。その表明に学習者は途方に暮れるしかないでしょう。しかし、英単語を記憶する時に、具体的なイメージ(つまり絵画的イメージ)とを結びつけることによって記憶した英単語は実用になります。どのような状況をその英単語が結びつけているかという考え方が記憶の鍵なのです。

絵画的イメージ、ビジュアル・イメージは人間の知性の根幹であるという知見が示しているものは何か。ビジュアル・イメージには感覚が結びつくのです。ビジュアル・イメージの欠乏が私たちから人間性を奪い取るということを知れば十分でしょう。人が死ぬことに対するビジュアル・イメージがなくなれば、人の死に対する意味や感覚がわからなくなります。ビジュアル・イメージ=意味と感覚は切り離した状態では価値がありません。

悲惨さ(感覚)を伝えるのは、ビジュアル・イメージが得意としていることです。戦争の写真が見せつける悲惨さは戦争の意味と感覚とを結合させて伝えます。その感覚が共有できるとき、戦争の意味は伝達可能のモノとして同意されるでしょう。ビジュアル・イメージによる意味の伝達、共有は人間の知的行為に違いありません。この人間としての本性を学習に利用することは大きな可能性を秘めています。

ビジュアル・イメージを学習対象から作り出すこと。これによって学習に対するエネルギーが増し加わるのです。次につながるイメージを本性的に求めるからなのです。ビジュアル・イメージを得ることで次なるビジュアル・イメージの渇望が起こるのです。紙芝居の一場面を見ることで、隠された次のページを見たくなることと同じです。このことはまた、学習意欲の低下や喪失が起こる理由を説明しています。

学習をしていると疲れてきます。それは休むことでリフレッシュできるはずです。しかし、学習意欲が失せたとき、休むことで学習意欲は出て来ないでしょう。学習意欲の喪失は疲れが原因とは限らないからです。興味の喪失です。興味の喪失はビジュアル・イメージの欠如に起因します。ビジュアル・イメージが私たちの興味の源泉であって、学習のエネルギーなのです。

ビジュアル・イメージを沢山持っている方が確実に学習効率が良いのです。この時、ビジュアル・イメージが感覚と結合していることが大切です。臨場感と言ってもよいかも知れません。その場に居合わせることから、あるいは当事者になることから得られる感覚の想像力をしっかりと持つことが有力なビジュアル・イメージを作り出します。このためにマンガがお薦めです。また映画も大変役に立つでしょう。