【よいこの記憶術】できるかな?例えば英語で実際に試してみよう

生徒・学生たちを恐ろしく悩ませている科目は、おそらく英語ではないでしょうか。大学に入学すると今度は第二外国語の選択を迫られます。外国語を学び始めたときの「あの」苦痛をまた味わうことになると想像するだけで憂鬱になってしまうかも知れません。そして外国語の学習のための記憶は歴史の暗記に比べると遥かに複雑なのです。

単語を覚えなければ、語学が始まらないでしょう。しかし、単語を知っているだけでは語学にならないのです。この意味では、外国語の学習は【よいこの記憶術】を使うだけではなく、【よいこの記憶術】によって獲得された記憶を活用する力を養うことに中心がでてきます。ですから、最初から外国語の学習で【よいこの記憶術】を使用することには難しい挑戦が伴うことになるでしょう。

単語は「綴り」、「発音」そして「意味」、さらに「用法」という記憶しなければならない側面があります。つまり連結が一つという単純な記憶では間に合わないのです。さらに絶望的なことには、本来母国語としている人たちですら、単語の記憶に苦労しているということが挙げられるでしょう。つまりそれだけ言語の記憶は複雑な記憶であって、記憶の形成は難しいのです。

このような理由から【よいこの記憶術】を使って外国語の単語を記憶するためには、少し練習と工夫が必要になります。それぞれの言語には、意味はよくわからないけれど、「綴り」と「発音」に繰り返し表れるパターンがあります。例えばフランス語のEAUという文字の並びは様々なところでお目にかかります。英語ではANTという文字の並びも同様です。

これらの文字の並びに具体的なイメージを連結して記憶ブロックを形成しておくことで綴りと意味とを連結しやすくなります。単語の意味を記憶するだけであれば、単語の綴りと意味とで記憶ブロックを作って、イメージ図を描くことで記憶することができるはずです。この方法で馴れれば、1日に100程度の単語をコンスタントに記憶することができるようになるでしょう。

例を挙げてみましょう。JASET8000という単語集のレベル2の単語にsighという単語があります。意味は、「ため息をつく」という自動詞です。英語のアルファベットにそれぞれ具体的なイメージを当てはめてみましょう(形、文字の音からの連想)蛇(S)、パイ(I)、おじいさん(G)、ホテル(H)でどうでしょうか。すると「蛇」、「パイ」、「おじいさん」、「ホテル」、そして「ため息」でイメージ画が描けるはずです。できるだけ印象が強いイメージ画を描いてみることが重要です。

「ホテル」で「おじいさん」が「蛇」の「パイ」を食べながら「ため息をついて」いるというのはどうでしょうか。それとも「ホテル」で「蛇」が「ため息をついて」いる「おじいさん」の「パイ」を食べているという方が印象が強いでしょうか。やってみればわかるはずですが、記憶することそのものに難しさはないはずなのです。【よいこの記憶術】を利用する英単語の学習はむしろ、再現の練習がポイントになります。

つまり「ホテル」「おじいさん」「パイ」「蛇」そして「ため息」から作られたイメージ画を元に、単語の綴りと意味とを分離する作業がしっかりとできることを求められます。このためにできれば、イメージ画を構成する時に順番を意識しておくこと、歌舞伎で役者が登場する順番と同じ、が大きな助けになるでしょう。順番にイメージの要素が登場して、一つのイメージ画ができあがるように記憶しなければなりません。